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PENTAX K20D

 
 
 
        PENTAX K20D
 
 
 
 
 勝手にインプレッション
 
某クルクル針クラブ会長から、「いつまでたってもK20Dのインプレが棚上げになっているが、どういうことなのか100字以内で理由を述べよ」とのご指摘を頂いたので、慌てて筆を執ることにした(一部誇張アリ)。いやはや、更新案内すらないこんな辺鄙な場所にあるコンテンツを何度も開いてチェックしているなんて、実はKGBに違いない。

さて、エンゾーは普通、ニューモデルが出るごとに買い換えるような行動パターンを持っていない。銀塩末期にカメラに嵌った世代なので、一世代くらいでは性能に大した差が生じないことを身体が覚えているからだ。
とは言え、デジタルカメラの分野はいまだ日進月歩であり、世代間の画質の進化は無視出来ないものがある。なので、今のところ(必要性と財布の余裕があったとして)エントリークラスで二世代飛ばし、中級機以上でなら一世代飛ばしで買い替えできれば、最小の投資で最良の画質を堪能できると考えている。

その理屈で行けば、ペンタックスの最高級機であるK10Dを持っていたエンゾーは、その次に出たK20Dは見送るはずだった。いや実際、全く買う気も予定もなかった。ここは、その顛末を明記しておかねばなるまい。

1.エンゾーが働く会社は9月決算で、会計担当から「数字を合わせたいので
  今月末日までの日付が入った領収書を10万円分集めて下さい」と言われた。
  が、そんな都合の良い領収書などどこにもない。そもそも、今日は既に
  9月30日。最終日にそんなこと言うな。

2.ちょうどその日、友人に貸していたわずかなお金が返って来た。

3.フラッと某カメラ量販店に行くと、K20Dが目に止まった。そういえば、
  ネット上では「見た目はK10Dと同じだけど、中身はまったく別物と言って
  良いほど進化している」と、もっぱらの評判だったっけ。K10Dは悪くは
  ないけど、後ピンが頻発するのとノイズの多さがちょっとなあ…
  
4.よく見ると、割引率がUPしていた。他社のフルサイズ機が続々とデビューを
  控えている今、安くしないと売れないからだろう。

5.そこに馴染みの店員がやってきて、耳打ち。「ここだけの話、エンゾーさんなら
  内緒で架空のカメラを下取りしたことにして、さらに5000円引きますよ」。

6.運悪く(?)、ペンタックスの「1万円キャッシュバックキャンペーン」が
  まさにその日まで(9/30〆)だった。


…結局、買ってしまった。何が言いたかったかというと、K10Dから間を置かず購入することになったのは本意ではなく、逃れられぬ成り行きだったということ。
「だったら、エンゾーは仕事カメラのメインがキヤノンなんだから、いっそのこと新品のEOS 50Dか中古の40Dを買えばよかったのに」
という意見もあるかとは思うのだが、そんなことしたらK10Dと形がまったく違うから嫁にバレてしまうのだ。

そんな話はどうでもいいですか、そうですか。


話をインプレに戻す。
K20Dは、外観上はK10Dと瓜二つである。正面の「PENTAX」のロゴマークが若干縦長の書体になったくらいで、右肩のモデル名を隠したら、パッと見には見分けが付かない。標準ズームまで付けるとズシリと重く、K200Dにはある軽快さがないので、やはりれっきとした中級機だ。大き過ぎるとは思わないが決して小さくはない、微妙なサイズのボディなので、居合い斬りのスナップより、じっくり被写体と向き合って撮るのに向いている。

操作系に関してはよく練られており、Tv・Av・プログラムオートなどの各モード間を縦横無尽に行き来できるハイパーマニュアルは本機でも健在である。
ただし、正面から見て右側、マウントの基部にあるフォーカスモード切り替えレバーが何かの拍子に動いてしまうのは、K10Dから変わっていない欠点だ。撮っているうちに、なんだかレンズの挙動が忙しくなったなと思ったら、シングルAFがコンティニュアスAFに変わっていた、なんてことがしょっちゅう起こった。特に立て付けが緩いわけでもないのに本当に頻繁に起こるので、改良して欲しかった。

背面の液晶モニターは2.5型だったK10Dから2.7型へと大型化し、ようやく最低限の視認性を確保した。とはいえ、23万画素しかないので解像度は他社の同クラスのモデルと比較するとかなり不足気味。またハイライトの輝度が高めに表示される傾向があり、盛大に白飛びして見えるくらいが、実は適正露出だったりするので困る。逆に言うと、モニターを信用すると、結果的には2段くらいアンダーになる。これに関しては、白飛び警告を常にONにするしか対処法がない。

ただし、ファインダーの出来はなかなか頑張っていて、0.95倍と倍率が大きいことも手伝い、とりあえずマット面でマニュアルフォーカスによる厳密なピント合わせが可能である。もちろんかつてのLXなどと比べてはいけない。あくまでも「昨今のAPS-Cサイズのデジタル一眼レフとしては優秀」というレベルである。キヤノンやニコンの中級機よりは、明らかに合わせやすい。

ちなみにK10Dでは、ファインダー上でピントが合っているように見えてもパソコンのディスプレイで確認すると後ピンだったりして、ガッカリさせられることが何度かあり、厳密なピント合わせが要求される撮影には向いていないように感じていた。
また、これは個体差の範疇だと思われるが、K10Dは撮像素子の取り付け位置が微妙にズレていることがあったようだ。エンゾーの個体がまさにそうで、方眼マットスクリーン上で厳密に水平を確認したはずなのに、パソコンのディスプレイで確認すると傾いていて、フォトショップで修正することがよくあった。K20Dでは、自分の個体も含めてそのような事例は聞かないので、組み立て精度が上がったのだろう。(ズレなんてあってもらっては困るが)

AFは、速度・精度ともに向上している。特に測距精度に関しては、K10Dで何度となく後ピン傾向に泣かされてきたので、信頼性が大きく上がったのは嬉しい。一部ではK10Dとは逆に前ピン気味であると言われているようだが、少なくともエンゾーが使う限りでは気になったことはない。


K10Dと比較して著しく改善された点としては、オートホワイトバランスの精度の向上が挙げられる。これは「劇的に」と言えるほど良くなっている。

K10Dは、ペンタックスのデジタル一眼レフの類に洩れず、もともとどのモードでも描写が暖色系…特にイエローに傾くことが多い(特に人肌で顕著である)が、蛍光灯モードでは画像処理エンジンがシアンやグリーンカブリを補正しようとしてやり過ぎる傾向が強く、レッドやマゼンタに振れてしまうことが多々あった。
仕事でブツ撮りする際、光源に蛍光灯の「RIFA」を複数使ってライティングするのが常となっているエンゾーにとって、この暖色シフトには非常に困らされた。後でフォトショップで色をいじろうにも、色味が違いすぎて補正しきれないからだ。
つまり、商品写真のように「正確に現物の色を再現しなければならない」用途にはかなり不向きなカメラと言わざるを得ない。

ところが、この欠点をK20Dはきちんとクリアしていた。白が白として写るようになっている。デジカメとして基本的なこととは言え、非常に大きな進歩だ。それまで、色の後処理に膨大な時間を割いてきた苦労が、K20Dの導入によりウソのように楽になった。

また、K20Dから採用された、ハイライトの白飛びを軽減するダイナミックレンジ拡大機能は、意外なほど使える機能である。実用上、常時ONがデフォルトで差し支えない。1460万画素になり、K10Dからかなり高画素化していることもあって、ダイナミックレンジそのものは厳しいはずなので、ここは積極的に新機能で補完したい。

画像処理エンジン「PRIME」の描画の傾向としては、キヤノンのEOSあたりが非常にあっさりとした「水彩画」のような写りであるとすれば、K20Dのそれは「油彩」である。こってりした仕上がりで、銀塩育ちには馴染みやすい。ただし先にも述べたように、ペンタックス独特の「人肌が黄色っぽくなる」という傾向は昔ほど極端ではないものの相変わらずであり、この辺りは好みが分かれるところだ。


ペンタックスは相変わらず低空飛行な感じが否めないが、K-mのような個性的なカメラもリリースして、ペンタックスらしさをアピールしている。だが、ここに来てキヤノン・ニコン・ソニーが立て続けにフルサイズ中級機をラインナップしたことにより、状況的には厳しさが増した。
フルサイズを頂に据える「新・御三家」と、フォーサーズやマイクロフォーサーズで小さいことを武器にするオリンパス・パナソニック(&ライカ)の間に挟まれ、完全に中途半端なポジションになってしまっている。

また、高感度撮影時のノイズの制御においては、メーカー間で技術格差が少しずつ開いてきており、ヘタをすると2世代分くらい違う印象がある。残念ながら、客観的に見てペンタックスは「遅れている部類」に属する。

10年先を見たとき、フルサイズの低価格化が進み下のクラスまで降りてくることはほぼ確実であり、その時にAPS-HサイズやAPS-Cサイズのボディがフラッグシップというのでは、まったく競争力がなくなってしまうのは想像に難くない。依然として、ペンタックスの先行きは不透明である。

しかし、「撮る気」を喚起するファインダーの出来栄えや防塵防滴の徹底、独創的な操作性など、カメラ好きがカメラ好きのために作ったことをこれほど実感できるデジタル一眼レフも、今のところ他にない。




長所

○大きく向上したホワイトバランス。AF精度もかなり良くなった。
○このクラスとしては非常に見やすく大きなファインダー像。MFで仕事が出来る。
○世界中に散らばるKマウントの母艦としても面白い。
○バッテリーの持ちが非常に良い。


短所

●高感度ノイズ(特に輝度ノイズ)はニコンやキヤノンと比較すると明らかに多い。
●手ブレ補正機能の効き方にムラがある。「ないよりマシ」という印象が・・・
●魅力的なリミテッドレンズは増えたが、ズームレンズの選択肢が意外と狭い。
●液晶モニターのスペックが低く、ハイライトがすぐに飛んでしまうため、一見露出オーバーのように見えるが、パソコンのディスプレイ上で見るとちゃんとディティールが残っている。この「見え方の差」のお陰で、一段アンダーの写真を大量生産してしまう。


超個人的オススメ度(10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆

偏愛度(10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆

Yahooオークション出現率(10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ 

※「K10Dとは別物!」という世評は本当です。


 
 
 



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